それでも朝日は昇る 8章14節

 翌朝、血相を変えて呼びに来たウィミィたちに連れられ、カティスは中央広場に駆けつける。そして、そこに広がった光景に、血の気を失った。
「やっちまった……」
 それは、目を覆いたくなるような光景だ。
 昨晩中に街中に広がった噂が、レーゲンスベルグの街に何をもたらしたのか。
 人数はきっかり六人。唯一その顔を見ていたカティスは、目の前に転がっているものが、カイルワーンを襲った強盗の成れの果てだと判った。
「私刑は厳禁だと言い含めても無駄なのは判っていたが……」
 まさか、こんなに早く。
 昨晩のうちに方々に逃げた強盗たちを追いつめ、ここに集め、私刑を加えて殺害したのが誰なのか――それに加担したのが一体どれほどの人数だったのか、カティスには聞きたくもなかった。
「止められなかった……」
 罪悪感をにじませて謝罪するイルゼに、カティスは「お前のせいじゃない」と首を振って、慰める。
「片づけよう。これをカイルの目に触れさせるわけにはいかない」
 やはり険しい表情のブレイリーの言葉にカティスは頷く。そんな彼に、セプタードが満面に苦渋の色をたたえて言った。
「なあ、カティス。人にここまでのことをさせてしまうほど慕われるということは、それは本当に幸せなことか?」
 その言葉は、その場に居合わせた、カイルワーンをよく知る者たちを慄然とさせた。

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